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山口地方裁判所 昭和41年(行ウ)4号 判決

原告 国

被告 有限会社田辺仏具店

主文

被告は原告に対し別表二記載のとおりの租税の納付義務があることを確認する。

訴訟費用は被告の負担とする。

事実

原告指定代理人は、主文同旨の判決を求め、被告代表者は、「原告の請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とする。」との判決を求めた。

原告指定代理人は請求原因として次のとおり述べた。

一、原告は、被告に対し、自昭和三二年四月一日至同三五年三月三一日間の事業年度における法人税額および源泉所得税額(賞与)につき、別表一(課税明細表)記載のとおり更正決定をなし、あわせて加算税額の決定をなし、これを被告に通知するとともに、同表記載のとおり納期限を定めて納入の告知をしたが、被告は別表一の租税中昭和三五年度法人税本税額一二七、二四〇円に対し、五、五五〇円を納付したのみでその他の租税については別紙二記載のとおりの税額を納付していない。

二、被告は前記租税債務を納付せず、現在所有財産なく滞納処分の執行方法もないからこのまま推移しては右租税債権自体時効によつて消滅することを余儀なくされるので、右租税納付義務の確認を求める。

被告代表者は、「原告主張の請求原因事実中、被告が原告主張の法人税および源泉所得税等の決定の通知を受け、その一部の支払をなしたが、原告主張の別表(二)の租税を納付していないこと、被告には差押うべき何らの財産もないことは認めるがその余の事実は不知と述べ、抗弁として原告の本件租税債権はその法定納期限から五年間経過し時効により消滅したものである。」と述べた。

原告指定代理人は、被告主張の抗弁事実を認め、再抗弁として、「原告は、別表一(課税明細表)の「納税告知月日」欄および「「督促月日」欄記載のとおり、それぞれ納税告知書および督促状を被告あてに発送し、また、昭和四一年一月八日付で被告に対し催告書を発送し、同書面は同月一三日到達しており、その催告の日から六ケ月以内である同年六月二八日に本訴を提起しているから、本件租税債権の時効は中断されている。」と述べた。

(証拠省略)

理由

原告主張の請求原因事実中、被告が原告主張の法人税および源泉所得税の更正決定、加算税の決定の通知を受け、その一部の支払(成立に争いのない甲一、二号証によれば昭和三五年度法人税中五、五五〇円であることが認められる。)をなしたが、原告主張の別表(二)の租税を納付していないことは当事者間に争いがなく、前出甲一、二号証ならびに弁論の全趣旨によつて、原告が、被告に対し、右通知にかかる更正決定、加算税決定の賦課処分を行い、既に右処分は確定して居り、被告は現在別表(二)記載のとおりの租税債務を負担していることが認められる。

ところで原告の本件租税債権がその法定納期限から五年間経過していることは当事者間に争いがないが、前出甲一、二号証によれば、原告は、別表一(課税明細表)の「督促月日」欄記載のとおり、それぞれ督促状を被告あてに発送した事実が認められ、その後五年内である昭和四一年一月八日付で原告が被告に対し催告書を発送し、同書面は同月一三日到達していることは当事者間に争いがなく、本訴が催告後六ケ月である昭和四一年六月二八日に提起されたことは本件記録上明らかであるから、本件租税債権の時効は適法に中断されて居り、この点の被告の抗弁は理由がない。(なお被告には現在差押えるべき所有財産がないことについて当事者間に争いがないから現在のところ本訴提起以外に時効中断方法がないことが認められる。)

以上の事実によれば、原告の本訴請求は理由があるから、これを認容し、訴訟費用について民事訴訟法八九条を適用し、主文のとおり判決する。

(裁判官 岡村旦 平山雅也 大前和俊)

別表一(昭和三五年一〇月二〇日現在)

会計年度

税目

法定納期

納税告知月日

同上指定月日

督促月日

同上指定月日

本税

加算税

昭和三七年法律六六号改正前

同上法律改正後

課税元年又は事業年度

利子税

延滞加算税

三五

法人

三五、五、三一

三五、一一、三〇

三五、一二、三一

三六、一、一二

三六、一、二一

九八、七三〇

四九、〇〇〇

二五、五七八

一七三、三〇八

自三二、四、一至三三、三、三一

三四、六、二

一九九、八八〇

九九、五〇〇

三〇、二六七

三二九、六四七

〃三三、四、一〃三四、三、三一

三五、五、三一

三六、一、一四

三六、一、二三

一二七、二四〇

六三、五〇〇

五、四一〇

一九六、一五〇

〃三四、四、一〃三五、三、三一

源泉

三四、一、一〇

三五、一二、一九

一六、九五〇

四、〇〇〇

三、〇七二

二四、〇二二

認定賞与

三五、一、一一

四五、〇〇〇

一一、二五〇

三、七八〇

六〇、〇三〇

三五、四、一一

三六、一、二四

三六、二、一〇

三六、二、一四

二九、一六三

七、二五〇

一、六五三

三八、〇六六

合計

五一六、九六三

二三四、五〇〇

六九、七六〇

八二一、二二三

別表二(昭和四一年五月二〇日現在)

会計年度

税目

法定納期

納税告知月日

同上指定月日

督促月日

同上指定月日

本税

加算税

昭和三七年法律六六号改正前

同上法律改正後

課税元年又は事業年度

利子税

延滞加算税

三五

法人

三三、五、三一

三五、一一、三〇

三五、一二、三一

三六、一、一二

三六、一、二一

九八、七三〇

四九、〇〇〇

四一、一六〇

四、九〇〇

二九、六一五

二二三、四〇五

自三二、四、一至三三、三、三一

三四、六、二

一九九、八八〇

九九、五〇〇

六一、七二〇

九、九五〇

六〇、一三七

四三一、一八七

〃三三、四、一〃三四、三、三一

三五、五、三一

三六、一、一四

三六、一、二三

一二一、六九〇

六三、五〇〇

二四、七九〇

六、三五〇

三六、五六六

二五二、八九六

〃三四、四、一〃三五、三、三一

源泉

三四、一、一〇

三五、一二、一九

一六、九五〇

四、〇〇〇

五、六一〇

八〇〇

四、八三五

三二、一九五

認定賞与

三五、一、一一

四五、〇〇〇

一一、二五〇

一〇、九三〇

二、二五〇

一三、五九九

八三、〇二九

三五、四、一一

三六、一、二四

三六、二、一〇

三六、二、一四

二九、一六三

七、二五〇

六、一七〇

一、四五〇

八、七六三

五二、七九六

合計

五一一、四一三

二三四、五〇〇

一五〇、三八〇

二五、七〇〇

一五三、五一五

一、〇七五、五〇八

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